雑感:
(プレイ時間:約8時間)
わかっちゃいたことだけど、何という鬱な展開……
しかし、やっぱり話の作り方は面白いと思う。話の作り方と言うよりは、シチュエーションの作り方と言った方がいいのかな。
ただエッチするだけならAVを見ればいいだけの話であって(それはまた違うか……)、せっかくゲームなのだから、ゲームならではのものが欲しいわけだ。二次元であるということよりは、むしろ俺はそちらを重視したいのである。例えばそれは非現実性であったり、あるいは自分が何をどうするかということを選べる可選択性というものであったりする。そして、それら全てを内包する非常にラクな呼称が、すなわち【シチュエーション】というものであるわけだ。
もちろんシチュエーションというのは、ただのエッチシーン時のシチュエーションのみを指すわけでなく、このゲームのように「ヒロインは自分を別の誰かだと信じており、自分もそれをわかりながらその別人を演じて結ばれる」というような人間関係もまたシチュエーションである。よくエロゲーの主人公になってみたいというような願望はあると思うが、このゲームの登場キャラには主人公はおろか誰一人としてなりたいキャラがいないというのが正直な気持ちである。そういうものを雲の上から眺めるようにしつつも、その中の一人である主人公を演じなければならないというのは、これはドラマや漫画とは違うゲームの面白さなのかもしれない。
そういう意味でこのゲームはプレイする前と後とでシチュエーションに対する評価はほぼ変わらず、「期待通りの面白さ」という面では十分に満足できたわけだが、それ以上に致命的なのが難しすぎるという点。
エンディングにえらい種類がいっぱいあって、その分岐条件がまったくわからない。パラメータがあるのでその数値で分岐するのかと思えば、単純に選択肢で分岐したりする。しかし後半だけ同じ選択肢だったとしても違うエンドに行くこともあるので、全てのルートを踏破するためには最初から全ての選択肢を協議する必要がある。なんで今のこの世の中でこんな激ムズゲーを出す必要があったのか理解に苦しむところ。確かにヌルゲーばかりでは面白くないが、なぜヌルゲーが面白くないかといえば「攻略する楽しさ」がないからである。難しすぎるゲームというのは、この攻略する楽しさが見出せない(=難しすぎて攻略する気すら起こらない)という意味では結局ヌルゲーと同じ、いや全ルートが見られない分ヌルゲーよりたちが悪いかもしれない。
それにフラグ管理が甘いのか、台詞が前後する場面が多く(例えばフェラチオしてないのにしたこと前提の会話が出てきたりとか……)、攻略が難しいのかバグなのか分からない場面が多いのもマイナス材料。
これだけのシチュエーションゲーは最近少ないので、うまく料理すれば名作になりえたかもしれないだけに、この不条理な難度が残念でならなかった。
(8/12,2008)
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